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FLUENTのプロセス残存の不具合

登録日 :2025/05/24 11:11
カテゴリ :Linux

Fluent 2022R1の計算を行って、計算は正常終了しているとコンソールに表示されているにも関わらず、Fluentのプロセスが実行状態で残ってしまうようです。なぜかわかりますか。FLUENTの2022R1とMPIなどバグの情報はありませんか


原因と解決策

  1. MPI関連の設定不備
    現象: 並列計算時にMPIのアフィニティ設定やバージョン不整合が発生すると、プロセスが終了しない場合があります。

対策:

MPIの変更: Fluent LauncherでIntel MPIやOpen MPIに切り替える。

アフィニティ設定の確認: 以下のコマンドをJournalファイルに追加し、show-affinityの結果を確認。

(show-affinity)
  1. Workbench設定の不具合
    現象: 「Reuse Fluent Session for Design Points」オプションが有効の場合、プロセスが残留するバグが報告されています。

対策:

Workbenchの設定でTools > Options > Fluent > Reuse Fluent Session for Design Pointsを無効化。

%APPDATA%\v221UserRegFiles\FluentPreferences.XML内の該当設定をFalseに変更。

  1. セキュリティソフトの影響
    現象: セキュリティソフトがFluentのソケット通信を遮断し、プロセスが残留。

対策:

セキュリティソフトの例外リストにFluentの実行ファイルを追加。

環境変数FLUENT_HOST_IPを127.0.0.1に設定。

  1. ネットワークパス使用時のMPI制限
    現象: UNCパス(ネットワークパス)を使用すると、MPIのパス長制限に抵触。

対策:

ローカルパスで実行するか、パスを短縮。

MPIをIntel MPIに変更。

  1. Journal実行時の終了処理不備
    現象: Journal実行時に終了コマンドが不足するとプロセスが残留。

対策:

Journalファイルの末尾に(wb-exit)を追加。

終了用テキストファイル(例: C:\temp\exit-fluent.txt)を作成。

既知のバグ情報(2022R1関連)

  • エラー: This is a post-processing only executable
    原因: Fluentが「Pre/Post Only」モードで起動。
    対策: Fluent LauncherでPre/Post Onlyのチェックを外す。
  • MPI関連クラッシュ:
    対策: %APPDATA%\v221フォルダをリネームし、設定をリセット。

推奨アクション

  • MPI設定の最適化: Intel MPIへの切り替えとアフィニティ設定の確認。
  • Workbench設定の確認: セッション再利用オプションを無効化。
  • 環境要因の排除: セキュリティソフトの例外設定とローカルパスでの実行。
  • Journalファイルの修正: 終了コマンドの追加。

これらの対策を実施しても問題が解決しない場合は、ANSYSサポートへshow-affinityの結果とFluentのトランスクリプトファイル(.trn)を添付して問い合わせることを推奨します。

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