PythonのThreadとasyncioの違いや使い所
| 登録日 | :2025/05/06 12:22 |
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| カテゴリ | :Python基礎 |
Threadとasyncioは、IOバウンドによる遅延に対する仕組みとしてどちらも使用される。似ているようで、使い所が異なってくるので、メモする
Threadは複数立てるとで並行処理を行う。この時、リソースへの競合に対してのロックなど適切な管理が必要。
一方でasyncioは、基本的に単一スレッドであり、リソースへの競合を考える必要はない。非同期でIO処理をしている間にCPUが開いている場合に次のCPU処理を入れることができる。その間、IO処理が終了したかを監視して、IO処理が完了したら、元の処理の続きをするなど、コルーチンという仕組みを使って実現している。
PythonのasyncioとThread(マルチスレッド)の主な違いは、並行処理の仕組みと用途にあります。
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asyncioは「シングルスレッドで複数タスクを切り替えて実行」するため、I/O待ちの多い処理(例:Webアクセス、ファイル読み書き)で特に効果を発揮します。
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Threadは「複数スレッドで並行実行」しますが、PythonのGIL(グローバルインタプリタロック)により、CPU集約型処理では性能が出ません。I/O待ちのある処理なら有効ですが、状態管理やロックの扱いが必要で、デッドロックや競合状態のリスクがあります。
asyncioは軽量で大量のタスクを効率よく扱えますが、CPUバウンドな処理には向きません。
まとめ
I/Oバウンドな並行処理:asyncioがシンプルで効率的
CPUバウンドな並列処理:Threadよりもマルチプロセス(multiprocessing)が適切
Threadはロックや競合状態の管理が必要だが、asyncioはその必要がほぼない
PythonでThread(マルチスレッド)とasyncioを使い分ける基準は、処理の種類(I/Oバウンド vs CPUバウンド)と効率性・コードの複雑さにあります。以下に具体的な判断基準を整理します
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asyncioが適している場合
大量のネットワークリクエスト(例:Webスクレイピング、API連携)
非同期対応ライブラリの利用(例:aiohttp, asyncpg)
高並行性が求められるサーバー(例:FastAPI, WebSocketサーバー) -
Threadが適している場合
ブロッキングライブラリの利用(例:requests, time.sleep)
シンプルな並行処理(小規模なI/Oタスク)
GUIアプリのレスポンス維持(例:Tkinterでのバックグラウンド処理)
Threadは、Threadを生成するときのCPU処理の負荷がかかることや、リソースに対するデッドロックや競合など注意点は多い。
CPUバウンド処理にはどちらも不向き:代わりにmultiprocessingを使用します。
asyncioの学習コスト:async/await構文や非同期ライブラリへの対応が必要です。
Threadの落とし穴:デッドロックや競合状態に注意し、Lockで同期を取る必要があります。
判断フロー
I/O待ちが多いか? → Yes → asyncioを検討
非同期対応ライブラリがあるか? → No → Threadを検討
高並行性(数千接続)が必要か? → Yes → asyncioが最適
既存のブロッキングコードを修正できないか? → Yes → Threadで暫定対応
結論:
新しいプロジェクトで非同期対応ライブラリが使える場合はasyncio、レガシーなコードやブロッキング処理がメインの場合はThreadが現実的です。